(2019.4.10)
代表医師の中嶋です。
本日は,脳梗塞の血栓回収療法について,New England Journal of Medicineから2018年に発表された医学論文論文を紹介します。
掲載雑誌:New England Journal of Medicine (impact factor:79.258 ⇒ 非常に影響度の大きい雑誌です)
タイトル: Thrombectomy 6 to 24 Hours after Stroke with a Mismatch between Deficit and Infarct
著者:NNogueiraRG, JadhavAP, HaussenDC,他
掲載号数・ページ: 2018; 378 (1) : 11-21
論文内容:DAWN trialについての報告。
(DAWN=DWI or CTP Assessment with Clinical Mismatch in the Triage of Wake-Up and Late Presenting Strokes Undergoing Neurointervention with Trevo)
内容:頭蓋内の内頚動脈や近位部中大脳動脈の閉塞例で、最終健在確認から6~24時間経過して、症状と梗塞のボリュームとの間でミスマッチが存在する例を対象としたとき、発症90日における機能予後は、血栓回収療法を実施したほうが、実施しなかった場合よりも有意に優れていた。一方、出血の頻度は血栓回収療法を行っても有意な上昇はなかった。
★ここで「症状と梗塞のボリュームのミスマッチ」とは、次の条件を満たすものとされています。
・ 80歳以上では、NIHSS 10点以上で脳梗塞21 mL未満
・ 80歳未満では、NIHSS 10点以上で脳梗塞31 mL未満 または NIHSS 20点以上で脳梗塞 31mL以上51 mL未満
(なお、脳梗塞のボリュームは、MRIの拡散強調画像またはCT灌流画像をRAPIDというソフトを用いて自動計測します)
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(解説)
朝,起床時に脳梗塞の症状を発症していることに気づくことは,少なくありません。rt-PA静注療法では,発症時間不明の場合,同療法による治療の対象外となってしまいます。この論文で紹介されたDAWN trialでは,脳梗塞で最終健在確認から6時間以上経過していても、症状と梗塞のボリュームのミスマッチが存在すれば、血栓回収療法の効果が期待できるということが示されました。
これまで、rt-PA静注療法(発症4.5時間以内が適応)の対象外とされていた患者さんも、血栓回収療法の対象となりうるため、ますます初診医の責任は重くなっているといえます。
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